「読み手が楽しめるシナリオを書きたい」「自身のエピソードを相手にわかりやすく伝えたい」と悩んだことはありませんか?
そういったゲームや小説のシナリオライター、ブロガー、就職活動で自身のことを話す機会がある方などに向けて、相手に響くシナリオ/文章構成・会話構成の考え方として、今回はシナリオ構成の王道パターンである神話の法則(ボグラーモデル)を紹介します。
相手に何かを伝えるときに有効な物語形式での記憶は残りやすい「エピソード記憶」を上手く活用する上でも役に立つので、興味のある方は今回の記事を参考にしていただけると幸いです。
神話の法則とは
ジョゼフ・キャンベルが考えた話の構成を法則化したものがヒーローズジャーニー(英雄の旅)です。
そのヒーローズジャーニーを元に、クリストファー・ボグラーが進化させたものが神話の法則(ボグラーモデル)です。
ちなみに、Web上だと神話の法則(ヒーローズジャーニー)みたいな書き方をしている人もいます。
※おおよそは同じなのでどちらでもよいと思います。
話の構成を法則化したということで、有名な映画やドラマ、アニメやゲームなどにも当てはまるものが多いです。
映画で例を挙げるとスターウォーズや千と千尋の神隠し、アニメで例を挙げると鬼滅の刃などで、神話の法則に当てはまります。
ヒーローズジャーニーでは8つのステージ、神話の法則では12のステージがプロットとして書かれています。
今回は神話の法則の12のステージを紹介します。
このプロットに当てはめて物語を書いていくことで、物語が書きやすくなります。
また、映画やドラマなどを見る際に、神話の法則のどのプロットに当てはまるのかを考えることで、違った視点で物語を捉えることができて、物語の構成に関する理解が深まると思います。
12のステージを紹介した後に、参考例を記載いたします。
神話の法則 12のステージ
神話の法則の12ステップは以下です。
- STEP1日常の世界
物語の始まりで主人公の日常を描きます。
- STEP2冒険への誘い
主人公が冒険をしなければならない理由や新しい行動を起こす出来事など、冒険のきっかけが出てきます。
日常から非日常への誘いを受ける部分です。 - STEP3冒険への拒絶
冒険への誘いに対して、様々な理由から主人公は抵抗します。
- STEP4賢者との出会い
賢者の役割をするキャラクターが出てきて、主人公へのアドバイスをします。
賢者は主人公に道を示す役割をします。 - STEP5戸口の通過
主人公は冒険を受け入れて前に進みます。
日常から非日常へ進み、日常へは簡単に戻れない状態になることが多いです。 - STEP6試練、仲間、敵対者
主人公は試練に出くわします。
主人公は仲間との出会いや敵との遭遇をして成長していきます。 - STEP7最も危険な場所への接近
主人公は物語における最も強い敵や危険な場所との対峙をします。
- STEP8最大の試練
ストーリー最大のクライマックス
主人公は最も大きな問題に立ち向かいます。
ボス戦とかがこれに当てはまります。 - STEP9報酬
主人公は最も大きな問題の解決や敵への勝利によって報酬を得ます。
報酬は、財産の獲得や王女の救出などがあります。 - STEP10帰路
主人公は帰路につきます。
ただし、問題を解決したものの、まだ逃亡中だったり命の危険にさらされながら戻ってくる状態です。
敵を倒した後に、建物が崩れて早く逃げなければならないなどがあります。 - STEP11復活
主人公は冒険から帰ってきます。
非現実的な冒険から元の日常生活へ帰ってきます。 - STEP12宝を持って帰還
冒険後の後日談
取り戻したヒロインや冒険で得た報酬とともに後日談が描かれます。
神話の法則に則った例文
神話の法則の12ステップに従って作成した物語が以下です。
話がおもしろいかどうかは置いておいて、ステップごとのイメージが付くかなと思います。
- STEP1日常の世界
私は共感能力が低く、日々の人間関係に苦労していた。
- STEP2冒険への誘い
相手の気持ちが理解できずに何気なく放った一言により、相手を傷つけてしまう。
- STEP3冒険への拒絶
傷つけた事実に対しては申し訳なく思うものの、なぜ傷ついているのかわからず、私は自分が言ったことが良くないということが理解ができない。
- STEP4賢者との出会い
その後、心理学に詳しい友人に話をしてみると、その一言により相手がどう感じるのかを教えてもらう。
- STEP5戸口の通過
私は自分が傷つける発言をしたことを理解して、相手に謝って仲直りする。
- STEP6試練、仲間、敵対者
この一件で心理学に興味を持ち、勉強して理解を深めていき、多くの友達が出来る。しかし、多くの友達に囲まれている姿をよく思わない人もいた。
- STEP7最も危険な場所への接近
クラスの一番の人気者に対しても、心理学を活用して同様に接したが、多くの友達に囲まれている私への妬みから、敵意を向けられてしまう。
- STEP8最大の試練
敵意はだんだんとエスカレートしていじめられるようになる。味方だった友達もクラスの一番の人気者の権力には抗えず、クラス全体で同調して、私はいじめられる。
- STEP9報酬
私はクラスの人気者からいじめられる原因を考え、様々なことを調べた。そして、クラスの人気者の妬みの感情の原因となる過去のトラウマを知り、対話により人気者との争いを解決する。
- STEP10帰路
人気者とも仲良くなり、クラスみんなが仲良くなる。しかし、私は心理学を勉強してからも共感能力が高くなったわけではなく、友達に対しても心理学の知識を活用して接していることを後ろめたく思う。
- STEP11復活
私は正直にそのことを打ち明けることにした。打ち明けた結果、そのことを嫌に思う人はおらず私は安心する。
- STEP12宝を持って帰還
私は自身の体験から心理学のすばらしさを世に広めるため、ブログにて心理学の情報を発信する。そして、同じ境遇にある人々の役に立つことで喜びを感じる。
物語や文章構成について、もっと深く知りたい方向け
動画教材
Udemy
一生役に立つ物語の法則をマスター!|物語で感情を動かすストーリーライティングコース今回の記事を書くにあたってメインで参考にした動画教材です。
神話の法則について、本記事より深く理解したい方におすすめです。
ちなみに、Udemyはセールを頻繁にやっているので、割引されているときに購入することを強くおすすめします。
※画像のように約90%オフとか普通にあります。
参考書
SAVE THE CATの法則
神話の法則とは少しずれますが、シナリオ構成のテンプレートを説明した本です。
テンプレートは物語を考える上ですごく役に立ちます。
後述する本より断然読みやすいため、物語の構成をもう少し学びたい人はこちらをおすすめします。
物語の法則
神話の法則(ボグラーモデル)について書かれている本です。
神話の法則だけでなく、キャラクターの役割や物語の創作術も書かれてあります。
前述した「SAVE THE CATの法則」よりは少々読みにくいかもしれません。
千の顔を持つ英雄
ヒーローズジャーニーについて書かれている本です。
翻訳本であり読みにくいため、あまりおすすめしませんが、細かく知りたい方は読んでみるのもいいかもしれません。
最後に
今回は神話の法則(ボグラーモデル)について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
ノベルゲームにおけるシナリオライティングや私がノベルゲーム制作した話など、以下記事にまとめてありますので、興味があればご覧ください。
記事に対する感想や記事のリクエストについては、お問い合わせからいただけると幸いです。