本記事では、プレイ時間1,2時間程度の2作品のノベルゲームを制作してリリースした私が、個人でノベルゲーム制作をする際の流れについて紹介します。
スケジュールも細かく区切って進め、ゲーム制作で必要な工程をほとんど全て実施したため、個人でのゲーム制作を始める方の参考になれば幸いです。
ちなみに、私はプログラムは書けるものの、イラストを書いたり作曲したり、といったデザインを形にするセンスはありません。
その中でどのように作品を作り上げたのかは参考になるのかなと思います。
本記事でノベルゲーム制作した話を理解できるようにはなっていますが、より詳細に知りたい方は以下の私が出版した本をご参考ください。
Kindle Unlimitedに加入している方は追加料金なしで読めます。
リリースした作品
まず最新で制作して公開した作品はこちらです。
使用ツール:ティラノスクリプト
自分で言うのもなんですが、無料ゲームにも関わらず、イラストもきれいで、ボイスもあり、OP/ED等の映像もあります。
当然シナリオにもこだわっており、軸となっている心理学要素についても、日常生活で実践的に使える心理学の知識を取り入れており、かなり質が高いと自負しております。
プレイした方々にはコメントで高い評価をいただいており、ファンアートもいただきました。
心理学に興味がある方も、そうでない方にもおすすめできる作品であり、なおかつ無料で遊べるので、ぜひプレイしていただけると嬉しいです。
ノベルゲーム制作の全体の流れ
まず個人で行ったゲーム制作の工程が以下です。
開発ツールはティラノスクリプトです。
システム実装~OP/ED制作までは、ある程度は順不同で考えていただいて大丈夫だと思います。
上記の工程を見て、多すぎてやめたくなったかもしれません。
ただ安心してほしいのは、ゲームの内容や作りこみ度合いによって省ける工程もあるので、「工程が多すぎるから無理」と制作を諦めなくて大丈夫です。
ここから全工程を1つずつ細かく説明していきますが、全て見る必要はありません。
「絵は自分で書く」「ボイスまでは必要ない」などなど、人それぞれどんなゲームを制作するのかは違いますので、必要な部分だけ見ていただければと思います。
全体計画/制作前の準備
全体計画と制作前の準備の流れは以下です。
- STEP1シナリオの全体像を決める
ストーリーの概要・プレイ時間・世界観などを決めます。
- STEP2シナリオ内の分岐を決める
シナリオ内の大分岐を決めます。
シナリオの規模に影響する関係でこの段階で決めます。 - STEP3キャラクターの設定を考える
キャラクターの名前・年齢・体型などを決めます。
特に主人公は設定が大切になります。(理由は詳細記事に記載) - STEP4キャラクターの相関図を作る
キャラクター数が多く関係が複雑になる場合は、キャラクター相関図を作成します。
- STEP5スケジュールを計画する【特に重要】
シナリオライティングからリリースまで、制作のスケジュールを作成します。
心理的にもタスクを詳細化して、スケジュールを計画することがおすすめです。
特に作品を作り切るためには、スケジュールを立てることが重要であり、実際に私がゲーム制作時も詳細なスケジュールを作成いたしました。
実際に私が作成した資料や内容の詳細については、以下記事にて説明しております。
シナリオライティング
シナリオライティングの流れは以下です。
- STEP1エディタを決める
プロットやライティング、コーディング時に使用するエディタを決めます。
おすすめのエディタについては、詳細記事をご参照ください。 - STEP2ライティングルールを決める
口調の統一・セリフ記載時の「」の有無・それぞれの記号の用途・場面変化や音を入れる箇所の記載方法など、ライティング時のルールを決めます。
- STEP3シナリオプロットを作る【特に重要】
シナリオの全体像が分かるプロットを作成します。
ゲームのおもしろさ・ライティングのしやすさに大きく関わるため、大切な工程になります。 - (参考)(番外編)ライティングでの便利ツール
QTTabBar(タブ切り替え機能拡張ツール)・Github(ファイル管理、バージョン管理)・Clibor(クリップボード履歴管理)が便利です。
- STEP4シナリオライティング
ライティングルールを守り、プロットを確認しながら、ライティングをしていきます。
ゲームのプレイヤーに何を伝えたいのかなどに注意して書いていきます。
ライティングをしやすくする方法は、詳細記事をご参照ください。
ノベルゲーム制作において、シナリオライティングはメインの工程であり、ここでゲームのおもしろさが決まるといっても過言ではないです。
実際に私が作成した資料や内容の詳細については、以下記事にて説明しております。
上記記事にも記載していますが、基本的なルールやシナリオライティングの進め方について学びたい方は以下の本がおすすめです。
私が出版した本では、「基礎的なライティングルール」はもちろんのこと、「どうしても書き進められないときのテクニック」なども記載しております。
システム実装
ティラノスクリプトでのシステム実装の流れは以下です。
- STEP1必要な画面を洗い出す
ゲームのシステム周りで必要な画面を整理します。
(セーブデータ選択画面・ロードデータ選択画面・コンフィグ画面など) - STEP2必要な機能を決める
セーブやスキップ、バックログなど、システム周りで必要な機能を整理します。
どの画面にどの機能のボタンを配置するかなども考えます。 - STEP3プラグインを導入する
ティラノスクリプトには、様々なプラグインがあり、それを導入することで全体のデザインを作ります。
おすすめのプラグインなどは、詳細記事をご参照ください。
ティラノスクリプト/ティラノビルダーを使うことで、ノベルゲームのシステム周りの実装が想像以上に簡単にできます。
実際に私がリリースしたゲーム画面や内容の詳細については、以下記事にて説明しております。
イラスト制作
イラスト制作については、キャラクターデザインと一枚絵/背景/ロゴに分けて説明していきます。
自分でイラストが描けない人向けに記載しております。
キャラクターデザイン
キャラクターデザインの流れは以下です。
- STEP1キャラクターイラストの必要な枚数とサイズを決める
キャラクターの数や表情差分の数などのイラストの必要枚数を決めます。
加えてイラストのサイズや拡張子もゲームエンジンに合わせて決めます。 - STEP2キャラクターイメージを作る
キャラクターイラストの制作を依頼する際に、イメージを伝えるためのキャラクターイメージを作成します。
イメージを作るにあたっては、ツールを使うため絵を描くスキルは必要あります。
ツールについては、詳細記事をご参照ください。 - STEP3表情差分のイメージを決める
キャラクターの表情差分のイメージを決めます。
表情は細かく見ていくと想像以上に違いがあります。 - STEP4見積もりと制作の依頼をする
twitterやpixiv、ココナラなどで、外注する人を探して、見積りと制作の依頼をします。
- STEP5ラフと完成品の確認をする
制作依頼したイラストのラフや完成品のチェックをします。
ココナラやpixivで依頼する場合は有料の依頼となるためお金はかかりますが、twitterだと無料で描いていただける方もいるかもしれません。(無料での依頼はあまりおすすめしませんが)
実際に私が作成したキャラクターイメージや進め方の詳細については、以下記事にて説明しております。
キャラ自体を自分では描かないものの、依頼する際にはイメージを伝える必要があります。
その場合にある程度おまかせでも良いのですが、より自分のイメージを明確化して伝えるために、私は以下の本を全て読んでデザインの参考にしました。
男性キャラの普段着や髪型を考える上では、以下を参考にしました。
個人的には女性の髪形より、男性の髪型の方が考えるのが難しかったです。
一枚絵・背景・ロゴデザイン
一枚絵・背景・ロゴデザインの流れは以下です。
キャラクターデザインと大まかな流れは同じです。
- STEP1イラストの必要な枚数とサイズを決める
背景の数や差分(昼夜など)、イベントCGなどのイラストの必要枚数を決めます。
加えてイラストのサイズや拡張子もゲームエンジンに合わせて決めます。 - STEP2イラストのイメージを作る
イラストの制作を依頼する際に、イメージを伝えるための背景と一枚絵のイメージを作成します。
イメージを作るにあたっては、図形の組み合わせで作成するため、絵を描くスキルは必要あります。
実際に作成したイメージは、詳細記事をご参照ください。 - STEP3背景素材を探す
背景素材を探します。
無料でもクオリティの高いものが提供されていて、お金をかけれない方は無料のものだけでも集めきれると思います。
おすすめの素材サイトについては、詳細記事をご参照ください。 - STEP4見積もりと制作の依頼をする
twitterやpixiv、ココナラなどで、外注する方を探して、見積りと制作の依頼をします。
- STEP5ラフと完成品の確認をする
制作依頼したイラストのラフや完成品のチェックをします。
- STEP6(必要に応じて)ロゴの入れ込み、画像加工
ロゴ制作とタイトルイラストである一枚絵制作は、別の方に依頼する場合がほとんどなため、ロゴの入れ込みをします。
キャラクターデザインと同様、ココナラやpixivで依頼する場合は有料の依頼となるためお金はかかりますが、twitterだと無料で描いていただける方もいるかもしれません。(無料での依頼はあまりおすすめしませんが)
実際に私が作成した一枚絵/背景のイメージや進め方の詳細については、以下記事にて説明しております。
音楽(SE/BGM)探し/自作
音楽(SE/BGM)探し/自作の流れは以下です。
自作とは書いているものの、作詞/作曲スキルなどはなくても作れるものを紹介しております。
- STEP1必要素材のイメージを決める
どのようなシーンでどういうSE/BGMが必要なのかをまとめます。
SE/BGMに関しては、素材を探しつつ、増やしたり減らしたりすると思うため、ここではざっくりで良いと思います。 - STEP2SE/BGM素材を探す
SE/BGM素材を探します。
無料でもクオリティの高いものが提供されていて、お金をかけれない方は無料のものだけでも集めきれると思います。
おすすめの素材サイトについては、詳細記事をご参照ください。 - STEP3(自作する場合)BGMを自作する
BGMはツールで簡単に自作することも可能です。
BGMは他作品と被りやすい部分でもあるため、被るのが気になる方は自作してみるのもありです。
ツールについては、詳細記事をご参照ください。 - STEP4(制作依頼をする場合)音楽制作を依頼する
こだわる方向けにはなりますが、twitterやpixiv、ココナラなどで、外注する方を探して、見積りと制作の依頼をします。
- STEP5音量を調整する
SE/BGMは素材サイトによって音量が異なる場合があるため、音量調整をします。
ツールについては、詳細記事をご参照ください。
SE/BGMは無料素材サイトのクオリティが高く、無料でも完結させやすいです。
おすすめの素材サイトや進め方の詳細については、以下記事にて説明しております。
キャラクターボイス(CV)依頼
キャラクターボイス(CV)依頼の流れは以下です。
無料ゲームだとキャラクターボイスまで付けない場合も多いため、余裕がある人やクオリティを追求する人向けです。
- STEP1セリフの区切り箇所を決める
セリフの区切り箇所を決めます。
区切り箇所は、ノベルゲームでいうクリック待ちの箇所を指します。 - STEP2台本を作成する(+文字数/セリフ数を計算する)
依頼する声優さんにお渡しする台本を作成します。
私が実際に作成した台本は、詳細記事をご参照ください。 - STEP3ボイス収録の見積もりと依頼をする
twitterやpixiv、ココナラなどで、外注する方を探して、見積りと制作の依頼をします。
- STEP4完成品の確認をする
制作依頼したキャラクターボイスのチェックをします。
- STEP5全てのボイスの音量を揃える
キャラクターボイスによって音量が異なる場合があるため、音量調整をします。
ツールについては、詳細記事をご参照ください。
実際に私が作成した台本や使用ツール、進め方の詳細については、以下記事にて説明しております。
OP/ED制作
次にOP/ED制作について紹介します。
私自身、アニメーション制作自体を2作品目のOP/ED制作の際に初めて行ったため、技術面では初心者に毛が生えた程度のレベルです。
そのため、詳細な技術を語れるほどの知識はありませんが、制作に必要な一通りの技術は1か月程度で習得しました。
何も知らない初心者が短めのOP/EDを完成させた際に、使用したソフトや書籍を以下に記載します。
おすすめのアニメーション制作ソフト
Adobe After Effects
大抵の人が聞いたことはある超有名ソフト
料金がまあまあ高いのがネックだけど、Youtube等で初心者向けの動画も多く存在していて、ネット上に多くの情報が落ちているためおすすめです。
アニメーション制作を本職でやっていきたい人が最初に始めるならこれ一択だと思います。
DaVinci Resolve
AfterEffectsに引けを取らないレベルで高機能なソフト
このソフトの良いところは何と言っても無料なところです。
AfterEffectsに有名度は劣るため、探したい情報がネット上で出てこないことがデメリットですが、自立して学んでいける人はおすすめです。
After Effectsのおすすめの参考書
基本的にYoutubeに初心者向けの動画があるので、そちらを見つつ手を動かしながら学んでいくのが良いと思いますが、本でじっくり学びたい方向けに参考書も紹介いたします。
私が実際に使用していた参考書で、タイトルの通り、図解で分かりやすいです。
私は動画を軸に勉強していましたが、この操作をしたいときどうするんだろうと思った際に、辞書代わりに使用していました。
有名どころとして、もう一つ上げておきます。
私はこの本は使用していませんが、1つ目に紹介した本との差は好みのレベルだと思います。
After Effectのオンライン講座
本格的に動画編集/アニメーション制作のスキルを身につけたい方や副業にすることを考えている方は以下のようなオンライン講座もおすすめです。
studio US(スタジオアス)
studio USは好きな動画を選んでみることができ、身につけたいスキルに合わせて講座を選ぶことができます。
動画編集と記載があるものの、AfterEffectsがメインの講座であり、アニメーション制作を学ぶのに向いていると思います。
通信講座デジタルハリウッド
デジタルハリウッドは値段だけ見ると高く見えますが、Adobe CCの年間ライセンス付きでこの値段となります。
AfterEffectsだけでなく、PhotoshopやIllustratorなども使用したい方には、ライセンス利用料も考えるとお得に利用できるので良いと思います。
デバッグ
次にティラノスクリプトでのデバッグについては、要点を抑えつつも自己流でやっていたため、ここでは記載いたしません。
デバッグについても、個人でのノベルゲーム制作についてまとめた本に記載しているため、興味があればこちらをご覧ください。
Kindle Unlimitedに加入している方は追加料金なしで読めます。
リリース
次に作品のリリースについては、投稿サイトごとに異なるため、ここでは記載いたしません。
とはいえ、登録時の入力情報について、ある程度注意すべき点などはあるため、興味がある方は以下をご覧ください。
ノベルコレクションへの作品登録については、以下のnoteが詳しく丁寧に説明されていておすすめです。
まとめ
今回はティラノスクリプトを使用して個人でノベルゲーム制作をする際の流れを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
本記事にプラスした詳細な内容を記載した本を出版いたしましたので、興味があればこちらもご覧ください。
Kindle Unlimitedに加入している方は追加料金なしで読めます。
本ブログでは、ゲーム開発についての情報を発信しています。
今後もコンテンツを追加していく予定なので、他にも気になる記事があればぜひご覧いただけると嬉しいです。
記事に対する感想や記事のリクエストについては、お問い合わせからいただけると幸いです。