本記事では、プレイ時間1,2時間程度の2作品のノベルゲームを制作してリリースした私が、ノベルゲーム制作でのシナリオライティングについて紹介します。
実際に作成した資料や表もご紹介いたしますので、これからノベルゲーム制作、その他ジャンルのゲームを制作する方々の役に立てると幸いです。
本記事だけでもシナリオライティングについてはある程度まとめていますが、より詳細に知りたい方は以下の私が出版した本をご参考ください。
「基礎的なライティングルール」や「どうしても書き進められないときのテクニック」なども記載しております。
Kindle Unlimitedに加入している方は追加料金なしで読めます。
リリースした作品
まず最新で制作して公開した作品はこちらです。
使用ツール:ティラノスクリプト
自分で言うのもなんですが、無料ゲームにも関わらず、イラストもきれいで、ボイスもあり、OP/ED等の映像もあります。
当然シナリオにもこだわっており、軸となっている心理学要素についても、日常生活で実践的に使える心理学の知識を取り入れており、かなり質が高いと自負しております。
プレイした方々にはコメントで高い評価をいただいており、ファンアートもいただきました。
心理学に興味がある方も、そうでない方にもおすすめできる作品であり、なおかつ無料で遊べるので、ぜひプレイしていただけると嬉しいです。
シナリオライティングの流れ
まず個人で行ったゲーム制作のシナリオライティングの流れは以下です。
どのようなゲームでも上記のような工程かなと思います。
次項からそれぞれの工程について、実際に作成した資料を見せながら説明していきます。
エディタを決める
まず最初に、シナリオを書いていくエディタを決めます。
「エディタなんて何でもいいでしょ」と思うかもしれませんが、長期間の作業に対する効率を考えると結構重要です。
使い慣れたエディタを使用する場合、使い方を新しく覚えなくて良い代わりに、使用する開発ツールのタグを簡単に入れることが出来ず非効率になることもあります。
一方、使用する開発ツールが推奨しているエディタを使用する場合、導入の手間や使い方を覚える必要がありますが、タグを簡単に入れることが出来たり便利な機能が使えて効率的になります。
どちらにもメリットデメリットがあるので、どちらが良いかは自分で判断してください。
ティラノスクリプトで推奨されているエディタは以下に記載があるので、参考にしてみてください。
※ティラノスクリプト 使い方&チュートリアル>編集ソフトについて
私が公開した作品もティラノスクリプトで制作しましたが、慣れていないエディタの機能を覚えるのが面倒だったため、使い慣れたものを使用していました。
私は、プロットやシナリオはGoogleドキュメントで書いて、プログラムに落とすときはVScodeやgPadを使用していました。
ライティングルールを決める
次にシナリオのライティングルールを決めます。
参考として、きれいではないですが、私が次作制作のために作成していたライティングルールは以下です。(一部書き換えています。)
セリフは「」を付けるのか付けないのか、それぞれの記号の使用用途、場面変化や音の入れる箇所の記載方法等を決めておきます。
このルールを作成しておくことにより、表記揺れをなくして文章の統一感を守ることができます。
また、表記方法を決めておくことにより、シナリオが完成した後にプログラムに落とし込むときに、まとめて置換がしやすくなり作業が楽になります。
キャラの呼び方や口調についても、キャラ設定時に決めていなければライティングルールに入れておいた方が良いと思います。
脚本やシナリオを書く際の基本的なルール等、私は頭に入っていて上記に記載していないものもあるため、基本的なルールについて知りたい方は、以下の本を参考にしてみてください。
物語の王道パターンを学びたい方は、以下の動画教材もおすすめです。
一生役に立つ物語の法則をマスター!|物語で感情を動かすストーリーライティングコースシナリオプロットを作る
次にシナリオのプロットを作ります。
この工程は、ゲームのおもしろさ・シナリオライティングのしやすさに大きく関わるため、すごく重要です。
プロットでおもしろさを感じないゲームはつまらないと言っても良いと思います。
シナリオのプロットは、簡単に言うと、シナリオをざっくり区切って最初から最後までが簡単にわかるシナリオの全体の流れみたいなものです。
参考として、私がゲーム制作時に作成したシナリオプロットの第一段階(改変前)の一部は以下です。
序盤の多少のネタバレを含むため、ネタバレが絶対に嫌な方は飛ばしてください。(ネタバレ防止のため、一部記載を黒塗りしています。)
プロットを作る目的は、起承転結(または序破急)を明確にすること、全体像の理解、シナリオの良さがどこにあるかを客観視することなどがあります。
シナリオの概要を思いついたときは「おもしろそう!」と思っても、実際にプロットを書いてみると物語の流れが平坦だったり、起承転結が小さかったり、見えなかったものに気づかされることもあります。
(番外編)ライティングでの便利ツールを導入する
ここでは番外編として作業効率アップのためのツールを3つ紹介します。
別に紹介することによりお金をもらっているわけではないので、単純に私が使ってて役に立ったものを紹介します。
QTTabBar(タブ切り替え機能拡張ツール)
ファイル管理ソフトと言えばデフォルトのエクスプローラーを使っている人が大半だと思いますが、ウィンドウ1つに対して1ディレクトリしか見れず結構不便です。
上記を導入することで、エクスプローラの1つのウィンドウ上で複数タブの切り替えができてファイル操作がすごく楽で見やすくなります。
Github(ファイル管理、バージョン管理)
エンジニアだと知らない人はいないぐらい有名なサービスです。
Githubを使うことにより、プログラムの管理やファイルの管理がクラウド上でできます。
便利ポイントの例をあげると、ファイルを修正した後に、ファイル名の末尾にr2とかver2とかを付けて複数ファイルを作る方もいると思いますが、Githubを使うとバージョンを管理できるため、バージョンごとに名前を変えて複数のファイルを持つ必要がなくなります。
Clibor(クリップボード履歴管理)
シナリオを書くときに、登場人物名をセリフの前に入れたり、同じタグを複数個所に入れたりすると思います。
このとき、いちいち手打ちやコピペをしていてはすごく非効率ですよね。
そんなときに、Cliborでコピーしたものの登録・履歴として管理をして、必要なときに必要なものをペーストすることで作業効率が上がります。
シナリオライティング
最後はメインであるシナリオライティングです。
とはいえ、ここまでの工程で、ライティングルールも決めていてプロットも作っているため、後は形にしていくだけです。
それでも「いざ形にしていくとなると難しい」という方もいると思います。(私はそうでした)
そういう場合は、作ったプロットをもう一段階細かくしてみると書きやすくなると思います。
参考として、実際に私がプロットをより詳細化したものは以下です。(実際にはゲームに含めなかったシーンです)
1シーンに対して、何を目的とした会話なのか、どういったことをプレイヤーに伝えたいのか、そのためにはどんな発言が必要かを書いています。
私のシナリオライティングの思考として、「全ての会話に意味を持たせたい」「無駄に引き伸ばさない」といったことを大切にしているため、上記のような詳細化をしています。
これは人それぞれの考えや特徴があるため、完全に真似する必要はまったくないです。
ただ、このようにシーンを詳細化することで会話が書きやすくなるため、シナリオライティングを進めていくのが難しい方にはおすすめです。
「どうしても書き進められないときのテクニック」なども知りたい方は、私が出版した本に記載しておりますので、興味があればご覧ください。
Kindle Unlimitedに加入している方は追加料金なしで読めます。
まとめ
今回はノベルゲームを個人制作した際のシナリオライティングについて記載しましたが、いかがだったでしょうか?
本記事だけでもシナリオライティングについてはある程度まとめていますが、より詳細に知りたい方は以下の私が出版した本をご参考ください。
「基礎的なライティングルール」や「どうしても書き進められないときのテクニック」なども記載しております。
Kindle Unlimitedに加入している方は追加料金なしで読めます。
ノベルゲーム制作の全体をまとめた記事やキャラデザインについては、以下記事をご覧ください。
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